家族のつながりと全能神教会の成長

1991年に中国本土で創設された全能神教会は、驚異的な成長ぶりを見せ、信頼できる統計は存在しないものの、現代における最大の新宗教運動の1つとなったことに疑いをはさむ余地はない。独特の信者募集方法をとることが、成長の起爆剤だと見て、批判する者もいる。例えば、他の教会の信者を誘拐して改宗させるという批判がある。信者は家族に自らの宗教について話さず、全能神教会が、一般的な観点からすると、家族の役割は小さいとされる。しかし、家族に関する全能神教会の教義を分析すると、この主張には疑問が生じる。2018年に韓国、米国、フィリピンに暮らす500人以上の全能神教会の信者(6割以上は中国からの難民)に実施したア...

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Bibliographic Details
Published in:The journal of CESNUR
Main Author: Introvigne, Massimo 1955- (Author)
Format: Electronic Article
Language:English
Check availability: HBZ Gateway
Journals Online & Print:
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Fernleihe:Fernleihe für die Fachinformationsdienste
Published: [2019]
In: The journal of CESNUR
Standardized Subjects / Keyword chains:B Quánnéng Shén Jiàohuì / Family / Conversion (Religion)
RelBib Classification:AZ New religious movements
KBM Asia
KDH Christian sects
Further subjects:B 新宗教運動と家族
B 宗教と家族
B 全能神教会の改宗方法
B 全能神教会
B 新宗教運動
Online Access: Volltext (kostenfrei)
Description
Summary:1991年に中国本土で創設された全能神教会は、驚異的な成長ぶりを見せ、信頼できる統計は存在しないものの、現代における最大の新宗教運動の1つとなったことに疑いをはさむ余地はない。独特の信者募集方法をとることが、成長の起爆剤だと見て、批判する者もいる。例えば、他の教会の信者を誘拐して改宗させるという批判がある。信者は家族に自らの宗教について話さず、全能神教会が、一般的な観点からすると、家族の役割は小さいとされる。しかし、家族に関する全能神教会の教義を分析すると、この主張には疑問が生じる。2018年に韓国、米国、フィリピンに暮らす500人以上の全能神教会の信者(6割以上は中国からの難民)に実施したアンケートによると、中国で改宗した信者の大半が、家族の成員から入信を勧められ、自らも家族の別の構成員の改宗を試みていたことが分かった。一方、海外で全能神教会に入信した中国人以外の信者の大半は、家族の改宗を試みるものの、自らの改宗のきっかけは家族ではない。社会学者のロドニー・スタークとロジャー・フィンケは、宗教運動の成長過程で教義の役割が過小評価されることに警鐘を鳴らす。全能神教会の成功は、多くの信者が、聖典『言葉は肉において現れる』を説得力があると捉えたことが、主な要因とする。しかし、中国で全能神教会が急成長を遂げた一因には、家族のつながりもある。
ISSN:2532-2990
Contains:Enthalten in: The journal of CESNUR
Persistent identifiers:DOI: 10.26338/tjoc.2019.3.2.3